[本]のメルマガ」誌より部分転載

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■「現代思想の最前線」/ 五月(ごがつ)
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第33回:反「帝国」の闘争へ――チョムスキーとネグリの言論活動

ドキュメンタリー映画『チョムスキー 9.11』が、9月28日(土)より、渋谷のユーロスペースでモーニング・ショー(午前10:50より)にて公開される。先日、幸運なことに試写会を拝見することができた。監督はジャン・ユンカーマン、製作は山上徹二郎、配給はシグロ。忌野清志郎が音楽を担当している。

シグロ特集ページ http://www.cine.co.jp/chomsky9.11/index.html
ユーロスペース http://www.eurospace.co.jp/

マサチューセッツ工科大学での授業のほかは、講演と執筆に明け暮れているという言語学者ノーム・チョムスキーが各地をスピーチ行脚する様子と、独占インタビューを編集したもので、上映時間は74分。ユーモアをふんだんに交えながらのチョムスキーの語り口に引き込まれる、あっというまのひとときだ。講演やインタビューを断片化して再編集するわけだから、たしかに流れとしてはしばしば「ぶつ切り」であるような感じはある。しかし、彼の密度の濃い議論は実際彼の本を読めばいいわけで、活動家としてのチョムスキーの飽くなき発言者ぶりは充分に見取ることができる。何と言ってもエンディング。思い出すだけで胸が熱くなる。

印象的なのは、チョムスキーを囲む民衆の熱気だ。私は、ここしばらく、星条旗を掲げる熱烈な愛国者としてのアメリカ大衆しか、報道番組で見ていなかったような気がするので、これは新鮮だった。チョムスキーの講演を聞くために集まった人、人、人。講演後に目を輝かせて「大いに励まされた」と語る婦人、笑顔で帰路につく男性。知識人の役割は「真実を語ること」だとチョムスキーは言う。どんなに惨めで馬鹿馬鹿しい現実が世界を蔽っているとしても、真実には人々を前進させる力があるのだ。

彼は何度でも同じことを話す。何度でも、諦めず、倦まず。「誰だってテロをやめさせたいと思っている。簡単なことです。参加するのをやめればいい」。実際、巧妙なレトリックによる言い逃れだけには良く通達している似非知識人たちのどうでもいい発言に比べれば、彼の率直さは賞讃に値する。その忍耐たるや、並大抵の精神力によるものではない。この映画をぜひお奨めしたい。観れば必ず、勇気が沸いてくるはずだ。

10月12日(土)からは、京都朝日シネマでレイト・ショー公開。同じくこの秋のプサン国際映画祭に正式招待され、アメリカでも年内に公開予定だという。アメリカのマスメディアがチョムスキーをどう遇しているかはご存知の方もいらっしゃるだろう。ほとんど無視されるか、馬鹿にされているのだ。なお、地域や学校での自主上映のためのプリント貸し出しをシグロで受け付けているとのこと。地方で興味のある方は問い合わせてみてほしい(TEL:03-5343-3101)。

また、この映画で取り上げきれなかった独占インタビューの全容は、リトル・モアから発売された書籍『ノーム・チョムスキー』で読むことができる。これは必読だ。お値段も1000円ぽっきりと、超お得である。

リトル・モアHP http://www.littlemore.co.jp/

チョムスキーは1928年生まれだから、今年で74歳だ。いやはや、元気である。頭脳明晰である。911一周年ということもあり、今月は上記の新刊のほかに、2点刊行されている。一冊は、トランスビューから刊行された1999年のインタビュー集『チョムスキー、世界を語る』であり、もう一冊は今週、文芸春秋から発売される『金儲けがすべてでいいのか――グローバリズムの正体』だ。しかしモノすごいタイトルにするものである。ちなみに原題は、"Profit over People: Neoliberalism and World Order"だというから、これは1998年にSeven Stories Pressから刊行されたものの翻訳だろう。さらに、こぶし書房のマルクス主義批評シリーズ「こぶしフォーラム」の近刊として、『新世代は一線を画す──コソボ・東チモール・西欧的スタンダード』というタイトルが予告されている。

トランスビュー http://www.transview.co.jp/09/top.htm
文春 http://bunshun.topica.ne.jp/search/html/3/58/97/4163589708.html
こぶし書房 http://www.kobushi-shobo.co.jp/foramu/foramu.htm

アメリカ本国でも、新刊や再刊が相次いでいる。マスメディアの等閑視に比べ、小出版社たちは怒涛のように彼の本を出しているわけで、しかもアマゾンなどであっという間に品切になっていたりする。例えば94年に刊行され、順調に版を重ねている"Media Control: The Spectacular Achievements of Propaganda"(2002, Seven Stories Press, ISBN:1583225366)はその中のひとつだろう。112頁のコンパクトな本だが、8月に発売された第2版が入手しづらくなっている。大幅に増補されたようだから、注目が集まっているのかもしれない。とは言っても、この種の本をマスメディアが取り上げるわけはないのだけれど。ああ痛快だ。

同じ版元からは同月に、チョムスキーとサイードの共著の第2版も出版されている。"Acts of Aggression: Policing Rogue States" (by Noam Chomsky, Edward W. Said. 2002, Seven Stories Press, ISBN:1583225463)がそれだ。1999年に初版が発行されたこの小さなパンフレット(64頁)は、サイードの論文「アポカリプス・ナウ」とチョムスキーの論文「ならず者国家」に加え、補遺というかたちでラムジー・クラークの小論「世界人権宣言の50周年記念について」を掲載している。

こうして色々見てみるとニューヨークに拠点を置いているインディー系版元のセヴン・ストーリーズ・プレスの精力的な出版活動は目覚しい。それもそのはず、昨年の「パブリッシャーズ・ウィークリー」紙で、アメリカでもっとも速く成長しているインデペンデント出版社に認定されたのだという。国際作家会議が昨年創刊した注目の新雑誌「アウトダフェ」(隔年刊)の英語版の発行発売元にもなっている。小出版社という以上の存在感と活躍である。

http://www.sevenstories.com/

さて、ネグリについて少し補足的な情報を。案の上と言おうか、時期的なものもあり、ネグリにあちこちの新聞や雑誌が発言を求めているようで、ここ最近ではフランスの「ル・モンド」や「ル・モンド・ディプロマティーク」「ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール」、イタリアの「イル・マニフェスト」などが、ネグリの論文やらインタビューやらを掲載している。そのうちの一つが日本語で読めるので、参照されたい。「ル・モンド・ディプロマティーク」の8月号に掲載された「イタリア左翼の再建に向けて」というテクストである。

http://www.netlaputa.ne.jp/~kagumi/articles02/0208-3.html 

明るい。ネグリは「希望の人」だ。チョムスキーもやはりそうだが、ネグリのこの力強い、前進する意欲はどこから生まれてくるのだろう。彼の情熱に惹かれて、ということだろうか、あるいは『帝国』が売れているからだろうか、この年末に、コンティヌウム社から『革命の時』という英訳新刊の予告が出ている。これまたすごいタイトルである。

"Time for Revolution" by Antonio Negri, December 2002, Continuum,Price: £50.00, Hardcover 240 pages, ISBN: 0826459315

目次は以下の通り。
Translator's Introduction & Acknowledgements
Time for Revolution 1: The Constitution of Time
Preamble
I. First Dislocation: the time of subsumed being
II. First Construction: collective time A
III. First Construction: collective time B
IV. Second Construction: productive time A
V. Second Construction: productive time B
VI. Third Construction: constitutive time A
VII. Third Construction: constitutive time B
VIII. Second Dislocation: the time of the revolution W
IX. Third Dislocation: the time of the revolution Y
Afterword
Time for Revolution 2: Kairos, Alma Venus, Multitudo
Introduction
I. Kairos
II. Alma Venus
III. Multitudo

上記目次を既刊のイタリア語原書のいくつかと照合してみると、この英訳書は、マニフェストリブリ社から刊行されたネグリの著書2点を英訳して1冊にまとめたものだとわかる。第一部が97年刊の"La costituzione del tempo. Prolegomeni: Orologi del capitale e liberazione comunista" ISBN:88-7285-136-4であり、第二部は2000年刊の"Kairos, Alma Venus, Multitudo: Nove Lezioni impartite a me stesso" ISBN:88-7285-230-7に該当する。前者はもともと80年から81年にかけて書かれたもので、後者は『帝国』とほとんど同時に発表されたものだ。

『帝国』の時と同じく、スラヴォイ・ジジェクが例によって面白い推薦文を寄せているので参照しておくと、「私たちはもう一人のネグリを発見する。哲学的で、神学的ですらある問題構成に沈潜する、もう一人のネグリを。この本は必読書である。世界資本主義「帝国」にかんする、巷間に広く知られたネグリによる分析の、固有の知的背景が分かる」とのこと。『革命の時』という英語の題にある「時」とは、「いまが革命の時だ、立ち上がれ」という場合の「いま」をも意味するものだろうが、それ以上にまず、ジジェクが示唆するように、ネグリがカントからハイデガーまでの時間論と対峙するかたちで構想した、「時間の構成論」における時間概念を指すだろう。

97年刊のタイトルに明らかだが、それはいまだに「プロレゴメナ」つまり、序説である。革命の時がいつ到来するのか、いつ「達成」されるのか、という問題は、マルクス主義の歴史において、いまだに決定不可能な核である。ネグリは2000年刊の著書で明らかにしているとおり、「愛」と「多数者」という契機から、新たな「時間(カイロス)」論を構築している。神話学が教えるところによれば、ギリシア語の「カイロス」とは、均質な機械的物理的量としての時間である「クロノス」に対し、好機であり、人生における特別なタイミングを意味している。 つまり、革命とは年月日が定められたクロノス的時間において達成されるのではなく、つねにすでに「その時」と任意で表現されうるようなカイロス的時間において転換を迎えるのである。

(少し勝手に要約しすぎたかもしれないことをお断りしておきたいが、ネグリのカイロス論は、デリダの言うメシア的時間との関連性においても興味深い考察ができるだろうことを付け加えておきたい。それは神学的というよりは、政治学にかかわるもので、民主主義の到来をめぐる問題である。)

英訳本『革命の時』は「帝国」の詐術がいったいいつ停止するのか、という重大な疑問を解釈する上で役に立つから、当然売れるだろう。『帝国』について言えば、つい最近、911をめぐる「ホットワイアード」誌の特集記事で、坂本龍一が「帝国」というキーワードを持ち出しているのを読んで、ああ、こうした知識人層までネグリ=ハートの鍵概念が応用拡張的に使われるようになったんだな、と複雑な思いがした。誰もが「帝国」を口にできるけれど、「いつ」と問うことの重大性に正面から取り組んでいる知識人は少ないのではないか。その意味で言えばこの国では、柄谷行人は依然として少数派なのだろう。帝国に抗する時間論、反帝国的時間論が待望されている。[2002年9月24日]

追記:この記事の配信後、読者のnさんからNHKの以下の特番の情報を教えていただいた。[2002年9月25日]

ETV2002
9/26(木) 22:00 -22:45放送
「あらわれた世界新秩序 〜『帝国』の思想をめぐる対談〜」
出演: 西谷 修(東京外国語大学大学院教授)・酒井・隆史(大阪女子大学講師)

去年9月11日の対米同時多発テロ以来、テロリズム対策をはじめ、アメリカを軸に、新しい世界秩序が生まれていることが浮き彫りとなった。冷戦体制崩壊後、経済のグローバリゼーションとともに、政治面でも「世界新秩序」の存在が指摘されてはいたが、今回その具体的な姿が立ち現れたと世界の識者が指摘している。この現状の「予言の書」として注目を集め、世界的ベストセラーとなっているのが、2000年に出版されたイタリアの思想家アントニオ・ネグリ氏の『帝国』である(今秋、日本語訳出版予定)。「9.11」以前に書かれたこの書で、ネグリ氏は、かつてと異なる植民地を持たない「帝国」の存在を指摘している。「帝国」は、強大なアメリカ一国では存在せず、現実主義路線をとる各国が「自発的」に組み込まれて成立する巨大マシンであるという。この書の中でアメリカが掲げる「正しい戦争」というスローガンを指摘していたことも、9.11以降のブッシュ米大統領の演説と重なり、話題となった。番組では、今年3月にローマ市内で撮影したネグリ氏へのインタビューを織り込みながら、二人の現代思想家が、ネグリ氏の「帝国」論を読み解く。

http://www.nhk.or.jp/etv21c/week/2002/09_4/week.html#4

 

初出:「[本]のメルマガ」mailmagazine of books vol.118 [第二期最終 号] 2002.9.25.発行より。

※参考までに第118号の目次とトピックス記事、奥付を以下に引用します。

■CONTENTS----------------------------------------------------------- 
★トピックス
→本誌リニューアルのお知らせ、新刊情報、イベント情報など。

★特別寄稿「完全報告:ペヨトル・イン・西部講堂2002」/ 黒木實
→ついにファイナル・イベント当日! 舞台裏の苦労とよろこび

★「S_h_o_r_t_ S_t_o_r_y_ S_t_r_e_a_m_」/ aguni(あぐに)
→多摩川〜鶴見川〜帷子川〜大岡川〜中村川……タマちゃん、タマちゃあああん

★「現代思想の最前線」/ 五月(ごがつ)
→チョムスキーのドキュメンタリー映画から、ネグリの反帝国的時間論まで
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■トピックス
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■[本]のメルマガが来月からマイナーチェンジします。

5日号の編集同人が、グッドスピードからマエストロ鏡玉に交代することになりました。雑誌編集の激務の中、長い間編集作業にたずさわってくれたグッドスピードに拍手。この機会に小誌は記者同人の異動を行い、来月より以下の通りマイナーチェンジします。★が編集同人、( )内は休載中の同人です。
5日号[メディア批評系]:マエストロ鏡玉★、あぐに、グッドスピード。
15日号[業界論=書評系]:掩耳★、南陀楼綾繁、キウ、(湯川新一)。
25日号[人文芸術系]:五月★、忘れっぽい天使、(タウ)。
新たに始まる第三期、今後ともご愛顧のほど、よろしくお願いします!


■英国の社会史家E・P・トムスンの古典的名著がついに完訳

20世紀の英国を代表する社会史家で、カルチュラル・スタディーズの源流であるニューレフト(マルクス主義批評)を牽引した功労者の一人、エドワード・P・トムスンの大著『イギリス労働者階級の形成』が、再来月(2002年11月)下旬、青弓社からついに邦訳刊行される。原著は"The Making of the English Working Class"(1963年刊)。名のみ高く、完訳が待望されていた。青弓社といえば2000年年末にレヴィ=ストロースの大著『親族の基本構造』の新訳を出版し、A5判で900頁を超える重量級の造本と、14,000円という恐いもの知らずの定価設定によって、読書家たちを驚嘆させたが、今回は頁数も定価もよりスケールが大きい。初版は多くないので、注文はお早めに。

『イギリス労働者階級の形成』
エドワード・P・トムスン(1924-1993)[著] 
市橋秀夫(埼玉大学教養学部助教授)/芳賀健一(富山大学経済学部教授)[訳]
A5判上製/約1,200ページ/定価20,000円+税/02年11月下旬刊

内容:宗教、慣習、労働、生活水準、家族、地域社会、民衆文化、そして自由に生まれたるイングランド人としての伝統的かつ愛国的な政治意識など、多義的な民衆世界の諸相をつぶさに掘り起こしながら、民衆みずからが展開していった対抗的政治運動の歴史をまったく新しい視点で描ききった記念碑的社会史研究。「読者の「期待の地平」に応える訳業」喜安朗(日本女子大学名誉教授)、「待望の一書」川北稔(大阪大学大学院文学研究科教授)、「優れてダイナミックな歴史分析」松村高夫(慶応義塾大学経済学部教授)など、識者から早くも絶賛の声が寄せられている。

※詳しくは青弓社のHPで http://www.seikyusha.co.jp


■ロートレアモンにインスパイアされた高密度なパフォーマンスを公開

2002年10月4日〜6日、東京大学駒場キャンパスで『マルドロールの歌』の詩人ロートレアモンを巡る国際シンポジウム「ロートレアモン――ロマン主義から現代性へ」が開かれ、その最終日に、ロートレアモンに想を得た公演(パフォーマンス)「糸、迷宮、メタモルフォーズ――『マルドロールの歌』への反−響」が公開される。ロートレアモンの詩の朗読と、音楽(三絃・筝)との鮮烈なコラボレーションをお見逃し無く! 作曲と演奏は港千尋氏の実弟、大尋氏。テクスト構成は詩人の守中高明氏だ。入場無料。
http://www.f.waseda.jp/tachiban/HP-Grillon/Index.htm

国際シンポジウム「ロートレアモン――ロマン主義から現代性へ」
公演「糸、迷宮、メタモルフォーズ――『マルドロールの歌』への反−響」

出演:港大尋(作曲・演奏)、高田和子(三絃)、佐久間景子(三絃・筝)
テクスト構成:守中高明
日時:10月6日(日)17:00〜18:00
会場:東京大学駒場キャンパス(京王井の頭線・駒場東大前下車)大学院数理
科学研究科大講義室
入場料:無料
主催:東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻
問い合わせ:03−5286−1373(早稲田大学法学部・守中研究室)
http://www.f.waseda.jp/tachiban/HP-Grillon/Index.htm

内容:『マルドロールの歌』――非人間的な書物。それはなにも、そこに刻みつけられた言葉の群れが、あなたのヒューマンな感受性を逆撫でするからというだけではない。なるほど、ここにはたくさんの呪詛があり、たくさんの残酷が、倒錯がある。だが、それら禍々しい言葉が目指しているのは、悪の表象ではない。そうではなく、それはヒューマンなものの組織を解体する悪=痛みそのものなのだ。マルドロールの変身――それはメタファーじゃない。寓意でも象徴でも幻想でもない。そうではなく、そこにあるのは一つの、否、無数の生成変化、すなわち「〜になる」ことだ。『歌』の主体(それは、それを書く人、そして読む人=聴く人、つまりは「あなた」でもある)は、美しい天使のような少年から、一匹の蛭や豚や両棲類へ、あるいは植物とも動物とも決めがたい根を張る奇怪な塊へ、さらには輪郭のない霧のような、そして熾天使のような声を響かせる分身たちへと、変身する。絶え間ない移行と振動と流れ。そこにあるのは力の帯域である。ここに私たちは、この力を聴き取り、知覚するために、複数の装置を導入する。三絃を、筝を奏でる二人の女(古代からやって来た――おそらくは運命の――糸を紡ぐ女たち)。間歇的なイマージュ、フラッシュ・バック。複数化する声。そして叩き出される無数の音列。私たちは、解釈しない。解釈は生成変化の敵だ。そうではなく、糸を、声を、鍵盤を、別のものに変えてしまうこと。あなたの目の前で、おそらく、あなた自身の身体を巻き込みながら――それこそが、『マルドロールの歌』への反−響の経験であるだろう。


■ジュンク連続トークセッション「ストリートをとりもどせ!」

インパクト出版会から刊行された、DeMusik Inter.(平井玄、大熊ワタル、東琢磨、酒井隆史)編『音の力――ストリートをとりもどせ』を記念し、ジュンク堂書店池袋店にて「ストリート」をテーマに、連続トークセッションが以下の通り行われる。

第1回「ちんどん的歩行論」9月27日(金)18時半〜
トーク:大熊ワタル×高田洋介(東京チンドン倶楽部主宰)×東琢磨

第2回「ストリートをとりもどせ」10月25日(金)18時半〜
トーク:酒井隆史×平井玄

第3回「ストリートの秘儀と奥義――〈現場〉の創出」11月17日(日)16時〜
トーク:東琢磨×鈴木慎一郎

場所:各回いずれもジュンク堂書店池袋店4F喫茶コーナーにて(池袋駅東口より目白方面へ徒歩5分。東京都豊島区南池袋2―15―5)
入場料:各回千円(ドリンク付き)要予約制(定員40名)。ジュンク堂書店池袋店1Fサービスカウンター、もしくは電話(tel 03-5956-6111)にてお申し込みください。

内容:ストリート=路上を舞台に、摩擦と混沌が生み出す「音の力」。はりめぐらされた管理体制をあぶり出し、はみ出し、そして超えていく路上音楽/芸能の数々――。ちんどん、大道芸からジャズ、歌謡曲、レゲエ、ヒップホップまで縦横無尽に紹介しつつ、音楽、そしてストリートの持つ共同性と可能性を探ります。この機会にぜひご参加ください!

○続報!『音の力 ストリートをとりもどせ』出版記念パーティー開催決定!
日時:10月26日(土)17時30分開場、18時〜21時
場所:中野Plan-b(丸の内線中野富士見町駅徒歩7分。中野区弥生町4-26-20地下1F、1階はバイク屋)
参加費:一般2500円、学生2000円
※ミニライブ、DeMusik Inter.(平井玄、大熊ワタル、東琢磨、酒井隆史)トークあり。ライブ出演・大熊ワタル、渚ようこ(歌謡曲歌手)、二木信(DJ)、バビルカダム(ヒップホップグループ)
問合せ:インパクト出版会(須藤) http://www.jca.apc.org/~impact/


■北園克衛の<ゆるやかな研究誌>[kit.kat+]が創刊

生誕百年を迎える今年、北園克衛をめぐる数々のイベントが予定されている。その一環として、北園克衛の<ゆるやかな研究誌>[kit.kat+](キットカットプラス)が発行される。「bookbar4」がこの編集局の分室となって、おなじみの「おかえりのすけ」をナビゲーターに迎え、以下(↓)のサイトでこの冊子の購読と参加をお誘いしています。http://www.okae.li/kitkat/ (「おかえり、キットカット」と読みます。)マウスをぐるぐる動かして、怪しいところはクリックしたり左にドラッグしてみたりして、どうか隅々までご覧ください。皆様のご参加をお待ちしております。Eメールでのお問い合わせは、 4-kama@mars.dti.ne.jp まで。

参考サイト
◎北園克衛 生誕100年記念イヴェントのお知らせ
http://www2u.biglobe.ne.jp/~artbooks/kk/index.html
◎bookbar4 楽天ブックス/北園克衛の写真に隠れていたモノ
http://www.mars.dti.ne.jp/~4-kama/shop/rakuten/top.html
◎奥成達資料室/vouと北園克衛と
http://www.okae.li/tatsu/vou.html
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